お耳、大丈夫ですか?
暑い夏がやってきました(^-^;)
夏の時期に多く見られる病気のひとつに外耳炎があります。
外耳炎と言うと、皆さんは耳の病気のように思われますが、外耳道の皮膚に炎症が起こる病気のことで、皮膚病の一つとして発症し、犬にはたいへん多くみられます。
外耳炎には季節的な特異性はありませんが、乾燥期よりも湿度の高い時期に発症する傾向があります。
梅雨時期や夏の期間は特に注意が必要です。
外耳炎は主に、耳垢がたまり変質して、外耳道の皮膚に刺激を与えたり、湿った耳垢に細菌や真菌(酵母)が繁殖して二次感染する事などが原因となって発症します。その他、異物のよるもの、ミミヒゼンダニ(耳疥癬)の寄生によるものなどがあります。また、飼主さんが綿棒を使って耳掃除をした際に耳道に傷をつけてしまったり、耳道の奥へよごれをかえって押し込んだりして炎症がおこることもあります。
犬の耳は人の耳と違い外耳道がL字型に折れ曲がっています。そのため耳の中は乾燥しにくく、水浴びや入浴のときに水が入ると水自体は頭を振ることで自然に外に出てしまっても、外耳道の水平部は湿ったままとなってしまいます。特に、垂れ耳や外耳道が狭い犬や耳の中に毛が多い犬では耳の中がむれやすいため、細菌や真菌(かび)などが感染して、外耳道に炎症を起こしやすいのです。
<外耳炎にかかりやすい犬種>
耳が垂れている : コッカー・スパニエル、ビーグル、ゴールデン・レトリバー、
シー・ズー、セッター、バッセト・ハウンド、ペキニーズなど
(理由)外耳道の換気が十分できず、耳垢がたまりやすい。
外耳道が細く、しわが多い : パグ、ブルドッグ、スタンダード・プードル、
ミニチュア・プードルなど
(理由) 耳垢がたまりやすく、二次感染を起こしやすい。
耳垢が多い : ジャーマン・シェパード・ドッグ、ダックスフンドなど
(理由)体質的に耳垢ができやすい。
外耳道に毛が多い : マルチーズ、ミニチュア・プードル、ヨークシャー・テリア、
ミニチュア・シュナウザーなど
(理由)二次感染を起こしやすい。
【症状】
原因により症状は様々ですが、一般に痒みのために頭や耳を振ったり、耳をものにこすり付けたり、後ろ肢で耳の付け根の部分を引っ掻いたりします。ときには痛みのために耳やその周りを触られることを嫌がり、攻撃的になる事もあります。
このようなとき、外耳道には悪臭を伴った褐色または黄色の耳垢がたまっています。また、ひどくなると耳から分泌物が出て(耳だれ)、そのため耳介の周りが汚れていたり、外耳道の炎症により耳介の皮膚にまで赤み・炎症が広がっている事があります。
外耳炎をそのままにしておくと炎症はさらに広がり、鼓膜を傷付けるなどして中耳にまで達し、症状が重くなることがあります。
さらに進行して内耳にまで炎症が広がると聴覚や平衡感覚が障害される事もありますので、異常に気づかれたら早めに受診して下さい。
【検査・治療】
飼主さんからの稟告と症状、耳介ならびに外耳道の検査:耳垢検査、耳鏡検査(耳道内の観察)などにより診断します。
治療は、洗浄液による外耳道の洗浄、抗生剤や抗真菌剤の点耳液、耳ダニ用の点耳液などを状態に合わせて使用し治療します。
症状がひどく痛みを伴う場合は、まず抗生剤や抗真菌剤、消炎剤などの内服薬などで痛みや急性の炎症を抑える治療を行い、痛みや急性の炎症が治まってから点耳液での治療を行います。
外耳の皮膚が肥厚してしまい耳道が狭窄している場合に、内科的に治療を続けても効果が見られない場合は、外耳道を切開して換気の悪かった水平耳道を乾燥させるように外科的に処置が必要になる場合があります。
【予防】
外耳炎は、一度治っても再発しやすい病気です。
予防や再発防止のために、耳の中を観察(よごれや臭い)してあげて下さい。
耳は常にきれいで、乾燥した状態にあるのがよいです。
外耳道をきれいに保つには、まず外耳道に生えている耳毛を指や鉗子などで耳道を傷付けないように抜き取り、乾燥しやすくします。
つぎにコットンや綿棒と耳洗浄液などの刺激の少ない薬剤で軽く耳垢を取ります。このときあまり神経質に取り除く必要はありません。目に見える範囲だけを行い、奥深くまで綿棒を入れたりしないようにしましょう。
また、耳の掃除は頻繁に行う必要はありません。。
耳掃除によってかえって炎症を発症させたり、悪化させ慢性化することも多いですので、耳に異常を発見した場合には、早めにご相談下さい。また治療を開始してからは完治するまで中断せずに通院していただく事も慢性化を防ぐためには大事になります。
※ 全院で、夜間診療は行っておりません。