まだまだ多い皮膚のトラブルにご注意を!パート1(外部寄生虫によるもの)
朝・夕の暑さがおさまってくるこの頃、お散歩に出かける方も多くいらっしゃることと存じあげます。以前ノミ・ダニのお話をしましたが、皮膚のトラブルはノミ・ダニだけではありません。もちろんノミ・ダニが寄生すると2次的に病気をもらったり、痒みがひどく皮膚病になります。ここでは、ノミ・ダニ以外のものをご紹介しようと思います。
まずは、皮膚の構造です。簡単に説明すると皮膚は4つの層に分かれます。20日間~25日で皮膚のターンオーバー(古い皮膚から新しい皮膚に変わる)が行われます。なのでシャンプーは最低20日~25日に1回シャンプーは行いましょう。皮膚病も軽度なものから重度のものがあります。
では皮膚病の原因とは?・・・・・原因はさまざまです。今回は寄生虫による皮膚病をご紹介します。
①寄生虫によるもの
〇ノミ・ダニ: 以前にもご紹介しましたが、ノミ・ダニの唾液などに反応し、強い痒みを引き起こします。
〇疥癬
・原因:ヒゼンダニとも言われ、犬や猫の表皮を食べて生活しています。犬や猫の皮膚の中にトンネルを掘り、そこに産卵します。伝染力が強く、すぐに感染します。
センコウヒゼンダニ ネコショウセンコウヒゼンダニ
・感染経路:感染している動物がヒゼンダニを落とした場所を通ったり、感染動物とのふれあいや物(首輪やケージ・お部屋)の共有などで起こります。
・寄生部位:イヌセンコウヒゼンダニは体全身に及びます。 症状:強い痒み、痂皮や毛の脱毛や皮膚の肥厚が見られます。
・寄生部位:ネコショウセンコウヒゼンダニは主に猫の顔や耳介に多数寄生します。症状:強い痒み、痂皮の形成や皺状の皮膚が見られます。
* とても痒みが強いため、引っかいて皮膚に傷が付きます。そこに細菌などが感染し2次的障害を起こします。ほっておくと局所から全身に広がっていきます。
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〇毛包虫
・原因:別名:アカラスと呼ばれ、犬や猫の毛根に寄生し生活しています。この毛包虫は多くに犬は何の症状もなく寄生しています。しかし、犬の自己免疫力や抵抗力の低下など、何らかの原因により、異常増殖すると症状が出てきます。
・寄生部位:局所~全身に寄生します。
・症状:脱毛や皮膚の赤みフケが見られ、痒みがあり、掻くことにより細菌などの2次感染を引き起こします。2次感染をおこすと、皮膚が化膿し、出血などをひきおこしたりします。
〇細菌・真菌
・細菌:原因は細菌です。単細胞の微生物で、細菌感染による皮膚病は膿皮症と呼ばれています。ネコよりも犬の発生率が高いです。
表面性(皮膚の表面で発生する)・表在性(皮膚の浅い部分で発生する)・深在性(皮膚の深い部分・真皮の深くまで)の3つに分かれます。
表在性:丘疹から発赤が広がり脱毛斑となます。そのまわりにかさぶたのようなものが形成されます。痒みを伴います。 深在性:発赤、硬結、湿潤、潰瘍、などが見られ、強い痒みを伴います。
・マラセチア(酵母菌):単細胞の微生物で、真菌の仲間です。もともと動物の耳などに多く常在しており、脂っぽい環境を好みます。
原因:マラセチアの異常増殖により起こります。
症状:強い発赤、脂漏、脱毛が見られ、多くは外耳炎を伴います。独特の匂いがあり、痒みも強いです。
・白癬菌(糸状菌):菌糸と呼ばれる管状の細胞で、症状を起こすと皮膚糸状菌症と呼ばれます。
感染方法は接触感染で広がります。
好発部位:頭部、四肢 症状:全身のフケ、丘疹と紅斑 痒みは少ないまたはないことが多い症状が進行すると痒みを伴ってきます。
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*糸状菌症は、人に感染する場合があります。以前の人畜共通感染症でご紹介してあります。
皮膚のトラブルは気づかぬうちに進行していたりします。そのままにしておくと、局所~全身に広がる場合もあります。また痒みが強い皮膚病もあり、爪でひっかき、傷ができ、症状が悪化する場合も多くあります。スキンシップを兼ねながら、犬や猫の全身チェックを定期的に行いましょう。
上記の写真はインターネットから参考に掲載させていただきました。
※ 全院で、夜間診療は行っておりません。