猫の甲状腺機能亢進症
ただいま、綾部動物病院では、7歳以上の猫ちゃんに、健康診断キャンペーンを行っております。
その検査項目の中に、“甲状腺機能亢進症”や“甲状腺ホルモン”といった聞き慣れない言葉があると思います。
今日は、その甲状腺機能亢進症や甲状腺ホルモンについてお話しします。
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猫の甲状腺機能亢進症
~甲状腺~
喉の気管の両脇にあり甲状腺ホルモンを合成しています。
猫の甲状腺の位置
~甲状腺ホルモン~
食物が代謝され、体を作ったり、エネルギーになったりする過程を促す作用があり、動物の生命活動に必要なホルモンです。
~甲状腺機能亢進症とは~
甲状腺ホルモンの分泌が異常に多くなっておこる病気です。10歳以上の猫ちゃんがなりやすい病気です。
新陳代謝が異常に活発になり、動きが活発になり(落ち着きがなくなったり、攻撃的な性格になったり)、体中の細胞がエネルギーを使うため、たくさん食べるけれど痩せていきます。また、水をよく飲むようになり、おしっこの量が増え、心臓も活発に働くため、肥大し疲労していきます。
進行すると、下痢や嘔吐をするようになり、食欲がなくなり、心不全、腎障害、高血圧症による網膜剥離(失明)などにおちいり、亡くなっていきます。
~原因~
甲状腺に腺腫や腺腫様過形成が生じて、ホルモンが過剰に分泌されます。
~症状~
・やせてきて、毛つやがなくなってきた
・食欲が増える
・水をたくさん飲み、おしっこの量が増える
・急に活発になり、落ち着かなくなったり、攻撃的な性格になった
・下痢をしたり、吐いたりする
~診断~
・甲状腺ホルモンの濃度の上昇
・その他、全血球数測定、血清生化学検査、胸部レントゲン検査、尿検査などを行い、併発疾患(糖尿病、腎臓病、心臓病、肝臓病、腫瘍など)の有無を調べたりします。
~治療~
内科療法~抗甲状腺ホルモン剤(甲状腺ホルモンの合成を阻害する薬)を投与します。生涯投与します。
外科療法~甲状腺を切除します。
放射線療法~甲状腺に放射線をあて、破壊します。
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甲状腺機能低下症は、10歳以上の猫ちゃんがなりやすい病気です。一見、元気になったように見えるため、発見が遅れ、手遅れになりやすいのです。上記の症状が見られたら、すぐに診察を受けましょう。また、定期的な健康診断で早期発見、早期治療を心がけましょう。私達、動物病院のスタッフも、可愛い猫ちゃん達が皆、長生きで幸せに暮らせるよう見守っていきたいと思います。
♪ ぐるぐるちゃん 2歳 男の子 ♪
※ 全院で、夜間診療は行っておりません。