~ フィラリア予防の時期ですよ ~
~ 春ですね ~
もうすぐ蚊の出る季節にもなりますね。蚊は気温が約14℃以上になると吸血活動を
開始すると言われており、この蚊を介してワンちゃんの心臓の中に入る寄生虫が
います。それが、フィラリアです。
今回は、このフィラリアについて説明させていただきます。
●フィラリアとは?
中間宿主である蚊を介してワンちゃんの心臓や肺動脈などに寄生することで
血液の流れが阻害され、肺高血圧や内臓のうっ血また組織に酸素や栄養素が
運ばれない状態に陥る危険な病気です。
右心不全をはじめ肝臓、腎臓、肺などにも障害を与えます。
①
①の写真は実際にワンちゃんの体の中にいたフィラリアの写真です。
(上の方がオスで体長は18cm前後で、下の方がメスで体長は30cm前後)
●症状について
主な症状としては…
「元気がない・咳が出る・食欲がない・呼吸が苦しそう・尿が赤い(血尿)
お腹が膨らむ(腹水)などがみられます。」
症状の進行程度は寄生しているフィラリアの数やワンちゃんの大きさによって
変わってきますが、少数の寄生でも寄生する場所によっては症状が激しくでる
こともあります。また、症状を無視していると心不全になり全身の臓器が
うっ血状態をおこし腎不全などの臓器の機能不全を引き起こすことになり
死亡する危険性が高くなります。
なので、これらの症状が見られた時には早めに病院で診察を
受けるようにしてください。
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●フィラリアのライフサイクル(生活環)について
1:フィラリアは蚊によって媒介されます。フィラリアに感染したワンちゃんの血液を
吸った蚊は血液とともにミクロフィラリア(子虫)を吸引します。
2:蚊の体内に入ったミクロフィラリアはそこで数回脱皮をしてワンちゃんに感染
可能な感染幼虫に成長し、蚊が血液を吸う口の方に移動してワンちゃんに
感染する機会を待ちます。
3:この蚊がワンちゃんを刺すとフィラリアの感染幼虫は蚊の体内から脱出し蚊が
吸血し終わると感染幼虫は刺した皮膚の穴からワンちゃんの体内に侵入します。
4:ワンちゃんの体内に侵入した幼虫は体内を移行しながら成長し
約3~4ヶ月かけて心臓に到達します。
5:心臓や肺動脈に寄生したフィラリアは約3ヶ月程度で繁殖可能な成虫に
なります。さらに同時期に?繁殖可能なオスとメスが寄生していればフィラリアの
子供・ミクロフィラリアを産むようになります。
6:産みだされたミクロフィラリアは血流に乗って全身に運ばれます。
蚊がこのワンちゃんの血液を吸えば再び最初の1に戻ることになり、
また別のワンちゃんにフィラリアが広がっていくことになります。
●予防について
フィラリアの予防方法は注射・皮膚につける塗布薬・経口薬があります。
多くの飼い主さんは経口薬で予防されています。
当病院で使われているフィラリアの経口予防薬は2種類です。
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一つ目は①の写真で錠剤タイプの予防薬になります。
? ②
二つ目は②の写真でチュアブルタイプの予防薬になります。お肉と薬を
混ぜ合わせたものになりますのでおやつ感覚で与えることができます。
●予防期間
フィラリアを予防する期間は宮崎だと3月頃から12月までは予防してほしいものです。
温かい地域ほど蚊が出始めるのが早いので、他の地域と違って宮崎では少し早めに
始めたほうが良いと思われます。
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*フィラリアの予防薬は体内に入ってきたフィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)
をまとめて駆除することでフィラリア症を予防します。
なので宮崎ではもう2月頃には地域によっては蚊が出始めて、ワンちゃんの体内に
フィラリアの幼虫が入ってくる可能性があるので、1ヵ月後の3月に予防薬を与えます。
次は、またこの1ヶ月後の4月に、そして次は5月に、と与えていき最後に
蚊が見られなくなった次の月まで予防薬を与えてください!
*ここでよく飼い主さんが間違えてしまうことは、「もう蚊が飛んでいないから
飲ませなくていいよね」と思われるかも知れませんが、フィラリアの予防薬は
体内に入ってきたフィラリアの幼虫をまとめて駆除するものなので、ここで終わり
ではなく蚊が見られなくなったその次の月まで与えることが必要です。
最後の予防薬を与えなければフィラリアに感染する可能性は高くなり
今まで投与していた予防薬が無駄になってしまう事があるので十分注意してください。
「フィラリア症はきちんと予防すれば100%予防できる病気です。
大切な愛犬を守るため予防はしっかりしていきましょう。」
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※ 全院で、夜間診療は行っておりません。