綾部動物病院

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老齢犬について知ろう②~寝たきりのワンちゃんのケア~

高齢になると足腰が弱くなり、寝たきりになってしまうことがあります。

いくらやわらかい布団の上に寝かせていても長時間同じ姿勢(方向)でいると、

身体の一部が圧迫されて血行が悪くなり、皮膚には赤みが出てきたり、

びらん(表面の皮がめくれる)が起きることがあります。

これを褥瘡(じょくそう)、いわゆる床ずれといいます。

びらんがひどくなると皮下脂肪や筋肉、骨にまで達してしまいます。

傷の治療には長期間かかることもあり、身体的にも精神的にも苦痛を与えかねません。



~何よりもまずは褥瘡ができないような管理を徹底!!

【敷物・マット】

人の医療や介護では圧力の設定を変更できるエアマットなどがあるようですが、

動物の場合は高額な機器の使用は難しいのが現実です。

そこで代用していただくのに最適なのが低反発のマットです。

褥瘡の対策にはとても有効とされています。



その他代用品:a.jpg

水遊び用のエアマットの空気をやや少なめに入れた物に

滑りの良いナイロンシートを敷いて使用する。

※ワンちゃん自身がバタバタと手足を動かすことで敷物の生地と皮膚の摩擦で出血してしまうこともあるので…。



【体位を変える】

少し前までは2時間おきに体の向きを変えてあげることが褥瘡の対策として言われていましたが、近年では頻回の体位変換で新しい褥瘡を作ってしまう危険性が指摘されています。

低反発マットなどの使用で除圧がしっかり行われていれば、それほど重要ではないようです。







【褥瘡が出来そうな部位のケア】



r3.jpg

は骨が突出しているために褥瘡ができやすく、注意が必要な部位です。



?b.jpg     c.jpg    d.jpg

?:敷物のみ

   ⇒突出した部分に褥創が…。

△:ドーナツ型のクッションで突出した部分を保護

   ⇒保護した周囲の血行を妨げてしまい、新しい褥創が出来てしまうことも…。

〇:一部分ではなく、周囲全体の保護が出来ているのでかかる圧力を分散できている。



?ドーナツ型のクッションを用いる場合は状態に応じて慎重に使用しましょう。



【清潔さを保ちましょう】

ワンちゃんの場合は全身で汗をかくことはありませんが、排便や排尿をしたあとに放置しておくと褥瘡の発生率を増加や悪化をまねくことになります。

さらに被毛がにが汚れた状態では衛生的に良くないうえに、

万が一褥創が出来てしまった時にも傷口に被毛が覆ってしまうようではより管理が難しくなってしまいます。

あらかじめお尻周りなどの汚れやすい部位はバリカンなどで短めに毛を刈っておくことをお勧めします。



まだまだ元気いっぱいのワンちゃんを飼われている方には想像もつかないかもしれませんが、いつかは飼い主さんの年齢を追い越す日がやってきます。

役に立つ日が来るかもしれないので心の隅に入れておいてください。


 

※ 全院で、夜間診療は行っておりません。