犬と猫の一生について
犬と猫の一生について、ライフステージごとに考えてみましょう。
おうちのワンちゃん、ネコちゃんは何歳になりましたか?
犬も猫も、私たちと同じように年を重ねていきます。私たちと違うのはその成長や老化のスピード。犬と猫のライフステージは、成長期から成犬期・成猫期(維持期)・高齢期へ、私たち人よりもずっと速く移行していきます。今回はワンちゃん・ネコちゃんがより長く、より元気にその一生を過ごせるように、私たちに何ができるのかをライフステージごとに見ていきましょう。
成長期(ベビー) 3週齢から10~12週齢まで
子犬の社会化
生後3週齢から10~12週齢までは「社会化期」と呼ばれる大切な時期です。外からの刺激への感受性が高いこの時期に子犬が経験することは、その後長期にわたって、その犬の行動や性格に影響するからです。誰にでもフレンドリーな犬や、臆病で攻撃的になってしまう犬など、犬の行動は様々ですが、子犬の社会化期の過ごし方が関係していると考えられています。犬が人間の社会に容認されるマナーを身につけるには、子犬の社会化期にそのスキルを習得する必要があるのです。この時期は身体的に大きく変化するだけでなく、人や他の犬とのコミュニケーションを学ぶ時期でもあります。
社会化期のポイント
・新しい家、人、食事(離乳)など住環境の変化が大きく、子犬にとってはストレスの多い時期であることに配慮しましょう
・生後5~7週齢は「アプローチ・ピリオド」:子犬が他の犬や人との触れ合いを通じ、コミュニケーションを学びます
・子犬が精神的トラウマとなるような経験を避けるように配慮(恐怖など)
パピーパーティー・パピー保育園へ行ってみよう!
・犬のボディランゲージを知り、自分の犬の理解を深める
・子犬に他の子犬や人と接して社会化する機会を与える
・恐怖を抱かせずに楽しく正しいマナーを習得できるようにする
成長期(ジュニア) 2ヶ月齢から[離乳期から成長期へ]
成長時期ごとに変わる体の成長部位
離乳期が終わる2ヶ月齢になると、骨の成長のピークが過ぎ、筋肉の成長が中心になります。このため2ヶ月齢になると、体に必要な栄養のバランスが大きく変わります。2ヶ月齢を過ぎたら、成長期の動物が必要とする栄養バランスに合った食事を与えることが大切です。
■小型犬の骨、筋肉、脂肪の発達
骨の成長は新生児期・離乳期でピークを迎えるのに対し、筋肉や脂肪組織は離乳後3~5ヶ月齢頃から成長しはじめ、8~10ヶ月齢頃まで続きます。
成長期(ジュニア) 4~5ヶ月齢になったら
?4~5ヶ月齢からは肥満に注意
■成長とともに増える脂肪細胞
4~5ヶ月齢以降は、成長と共に脂肪細胞がますます増えていきます。この時期に必要以上のカロリーを与えてしまうと脂肪細胞の数が増え過ぎてしまい、成犬になった後も太りやすく、減量しづらい体質になってしまうと考えられています。
【肥満になると】
?心臓病、関節炎、尿石症、泌尿器病、ホルモン病、麻酔などのリスクが高くなるといわれています。
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成長期の犬・猫に必要な栄養バランスの食事
成長期の終わり(ジュニア) 小型犬・猫:6ヶ月齢頃 大型犬:10~12ヶ月齢頃
避妊・去勢手術
小型犬や猫では生後6ヶ月齢で成長期が終わり、成犬・成猫と呼ばれるようになります。また大型犬は10~12ヶ月齢まで、ゆっくりと成長が続きます。性成熟するこの時期に発情が見られますが、一般的に最初の発情を迎える前の避妊・去勢手術が推奨されています。
避妊・去勢手術のメリット
①性ホルモンに関連する病気を予防できる
発情期を迎えた動物の体内では、性ホルモンが活発に分泌されます。性ホルモンは高齢になると特定の病気につながることもあり、避妊・去勢によってそのリスクを低減させることが推奨されています。
♂雄 精巣腫瘍、前立腺肥大など
♀雌 乳腺腫瘍、子宮蓄膿症など
②発情期の問題行動を抑えることができる
発情期の動物は、精神的に不安定になりがちです。猫は頻回の発情に伴うストレスも大きく、雄猫のケンカやそれに伴う感染症(FIV,FeLV)などのリスクも高くなります。またマーキングや尿臭が減ります。
維持期 成犬・成猫 避妊・去勢後
避妊・去勢手術後の体質変化に注意!
避妊・去勢によりホルモンバランスが変化すると、手術前に比べ運動量が低下し、必要なカロリー量が30%減少します。一方、食欲は20%も増加します。その結果、これまでと同じ食事を同じ量与え続けると、カロリー過剰で肥満になってしまうのです。
避妊・去勢手術の後は、食事のカロリー摂取量を減らしましょう。
避妊・去勢後の肥満しやすい犬と猫のためのフード
その他成犬・成猫のためのフード
高齢期 シニア 7歳頃から
高齢期のケア
老化によって動物の体では様々な機能の低下が起こり、多くの動物が何らかの慢性の病気を患います。より元気なシニア期を過ごすために、積極的に健康診断を受診し、病気の早期発見・早期治療を心がけたいものです。
高齢期に多い病気
心臓病・腎臓病・関節炎・認知症・ホルモン性の病気
老化のいろいろな影響 | 食事管理のポイント | |
消化・吸収↓ | より多くの栄養が必要 | ・消化性が高くおいしいフード |
味覚や嗅覚↓ | おいしいフードしか食べない | |
口渇感↓ | 必要な水分が不足(脱水)しやすい | ・いつも新鮮で十分な水・ウェットフード |
筋肉量↓脂肪↑ | 肥満になりやすい | ・たんぱく質量の調節・分岐鎖アミノ酸の増強・カロリーは控えめ |
免疫力↓ | 様々な病気にかかりやすくなる・感染症、・尿石症、・腫瘍など | ・抗活性酸素物質・脂肪酸やアミノ酸・ビタミンなど |
内蔵機能↓ | 心臓、腎臓、肝臓などの機能低下 | ・ナトリウムやリンの含有量の調節 |
脳の働き↓ | 認知障害、行動の変化 | ・脳の健康維持に必要な栄養素 |
関節の働き↓ | 関節炎、運動時の痛み | ・炎症に配慮、EPA・DHA・グルコサミン、コンドロイチン |
シニア犬・猫のための食事






※ 全院で、夜間診療は行っておりません。