犬・猫の糖尿病
糖は、体細胞のエネルギー源で、炭水化物が消化されて作られます。糖は、消化管で吸収されて、血流に乗って体のあちこちに運ばれて使われます。血糖値は、膵臓から分泌されるインスリンでコントロールされています。
糖尿病とは、インスリンが不足したり、作用が低下するために、高血糖が続き、尿中に糖が排出される状態のことをいいます。
日本人の糖尿病・糖尿病予備軍は、2000万人、5人に1人、男性の16%、女性の9%と言われています。
ワンちゃんやネコちゃんも糖尿病になることがあります。糖尿病が進行すると、犬では白内障に陥ったり、猫では末梢性の神経障害を起こしたり、さらに、進行すると昏睡状態になり、死亡することもあります。
今回は、犬・猫の糖尿病について、特徴、症状、治療法、予防法についてお話します。
■犬の糖尿病の特徴
・インスリンの分泌能が失われていることが多い。
・小型犬が多い。
・雄より雌の方が多い。
・中年以降の発症が多い(猫も多い)。
・肥満している(猫も多い)。
・内分泌疾患に罹患していることが多い。
■猫の糖尿病の特徴
・インスリンの分泌能が残っているものが多い。
・インスリン抵抗性を発現しやすい。
・雌より雄の方が多い。
■糖尿病発症の要因
・肥満
・膵炎
・内分泌疾患(副腎皮質機能亢進症/甲状腺機能低下症)
・ステロイド剤の投与
・細菌感染
・妊娠・黄体期の発症
・腎不全/心不全/肝不全
■糖尿病の症状
・多飲多尿
・体重減少
・多食/食欲不振
・元気消失
・被毛の粗剛・乾燥/毛づやの消失/落屑
・嘔吐/下痢
■糖尿病の併発疾患
・白内障・ブドウ膜炎(犬)
・感染症(皮膚炎/膀胱炎/子宮蓄膿症)
・膵炎
・ケトアシドーシス
・肝臓病/腎臓病
・抹消神経障害(猫)
・昏睡、死亡
■糖尿病の臨床所見
・血液検査
・高血糖(犬:350~450mg/dl、猫:400~600mg/dl)
・高コレステロール血症/高トリグリセリド血症
・ALT・ALPの上昇
・尿検査
・尿糖/ケトン尿/蛋白尿/細菌尿
■糖尿病の治療
・インスリンの投与(飼い主さまが注射を行います)
・食事療法(低炭水化物、高線維食、高タンパク質)
・肥満の改善
・適度な運動
・感染症および併発疾患の治療
・避妊手術
■糖尿病の予防
・肥満の防止
・適度な運動
・避妊手術
・ストレスのない環境
・血糖値や尿糖の定期検査
糖尿病は命にもかかわる怖い病気です。適切な食事と適度な運動などで予防することができますので、飼い主さまも可愛いワンちゃん、ネコちゃんも糖尿病にならないように、日頃から気をつけましょう。
※ 全院で、夜間診療は行っておりません。