綾部動物病院

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熱中症について

熱中症とは・・・

体のなかと外の熱さによって引き起こされるさまざまな体の不調の総称 です。

専門的には

 「暑熱環境にさらされる、あるいは運動などによって、体の中でたくさんの熱を作るような条件下にあって発症し、体温を維持するための生理的な反応により生じた失調から、全身の臓器の機能不全にいたるまでの、連続的な病態」と定義されています。

 

【熱中症の分類】

  • 熱痙攣                                      発汗により電解質を喪失し、筋肉の痛みを伴いながら痙攣すること
  • 熱疲労(熱衰弱)                                 大量発汗による脱水症状と電解質喪失により、のどの渇き、疲労感、頭痛、嘔吐、めまいなどの症状が見られること
  • 熱射病                                      高温の環境下で熱が体内に貯まり、体温調整機能不全をきたすことで高体温となり合併症を起こすこと。日射病は熱射病に分類され、原因が強い日光を浴びることにより生じる症状を示すが、熱失神に分類されることもある              
  • 熱失神(熱虚脱)

 

【熱中症の原因】

 犬猫の熱中症の直接的な原因:高温多湿の状態におかれたこと 

  • 日射病(屋内外、散歩中)、車内放置、ドライヤーなどの不適切な使用、風通しの悪いゲージ内での輸送中など
  • 熱中症になりやすい素因を持った品種
  • 基礎疾患

 〈熱中症になる誘発因子〉

 品種

  • 北方犬:シベリアン・ハスキー、アラスカン・マラミュート、サモエドなど
  • 短頭種:パグ、ブルドッグ、フレンチブルドッグ、シー・ズーなど
  • 大型犬
  • 長毛種

 基礎疾患

  • 心疾患、上部気道疾患
  • 慢性的な疾患や体調の崩れ(脱水症状を引き起こしている状態)
  • 肥満
  • 熱中症の既往歴

 年齢                                      

  • 老齢および若齢

 

【症状】

  • 40℃以上 : 開口呼吸、粘膜充血
  • 41℃以上 : 呼吸速迫、パンティング、皮膚充血。                                            持続すると呼吸困難、意識混濁、血圧低下(ぐったりする)
  • 42℃以上 : 細胞レベルでの障害が起きる。意識障害、嘔吐、痙攣。                                     持続すると、ショック、脳障害、多臓器不全。         
  • 43℃以上 : 不可逆的な変性→死

 

【続発する合併症や後遺症】

  • 重度の脱水によって起こる循環器障害や急性腎不全
  • 代謝性アシドーシス(体内の代謝によって水素イオンが体内に貯留し、体液が酸性に傾いた状態)
  • 凝固因子破壊による血液凝固異常やDIC(播種性血管内凝固:血管内に血栓が生じ、そのために血小板が消費、線維素溶解が亢進し,出血傾向を来す)
  • 消化管潰瘍、出血性下痢、
  • 神経細胞死による脳障害                              など全身の臓器にあらゆる病態、症状を引き起こす

 

熱中症の治療 : 早期発見・早期治療

  体温40℃以下の場合 

    ・涼しい場所に移す。           

    ・意識があれば水を飲ます。

    ・ゆっくり休息させる。

  体温40℃以上の場合

    積極的な体温低下処置が必要(病院に運ぶまでの初期治療)

    ・冷水で全身を濡らす

    ・ぬれたバスタオルでくるむ 

    ・扇風機、ドライヤーの冷風をあてる

    ・氷などで部分的(首や腋、内股)に冷やす

    極端な冷却法(氷水のなかへ全身つけるなど)は、血管収縮を招き、また動物に苦痛を与えるために逆効果です。また、一見症状が軽く家庭で回復したように見えても、その後に症状が進むこともあるので必ず動物病院で受診して下さい。

また、一度熱中症を経験した動物は体温調節状況が乱れているので再発の危険性があります。

 

飼い主さんへの注意事項

  • 動物を置いて外出するときは、室温が上がらないように工夫する。
  • 密閉された狭い空間に置かない。
  • 室外飼育のときは直射日光が当たらないように工夫する。
  • 水分を十分取れるようにする。
  • 車に乗っているときは、犬が興奮しやすく、日光も当たり体温が上昇しやすいため、車の室温を十分コントロールし、日光の当たらない場所に置いてやる。
  • 夏場の運動は涼しい時間に行い、時間をかけない。特にアスファルトを散歩させる際には、人間が感じる温度より、体高が低い犬では感じる温度が高いことがあるので注意する。
  • 短頭種や肥満犬、ゴールデン・レトリバーなどの大型犬では特に上記のことに注意する。
  • 熱中症になったときの簡便な対処法を覚えておく。

 

※ 全院で、夜間診療は行っておりません。