綾部動物病院

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犬の僧帽弁閉鎖不全症について

 心臓病は、すべての犬の10~15%(10歳以上の犬の30%以上)に見られる病気です。
 その中でも、僧帽弁閉鎖不全症は一番多く見られます。

 主に、高齢の小型犬に多く見られ、雌より雄の方が多いと言われています。
 (ただし、キャバリアは、5歳以下での発症も見られます。)

 
心臓について
 心臓は、血液を全身に送り出すポンプの働きをしています。
 4つの部屋と弁からなり、収縮と拡張を繰り返すことによって、血液をスムーズに送り出しています。
 さらに、弁があり、血液が逆流するのを防いでいます。

僧帽弁閉鎖不全症とは
 僧帽弁は、左心室と左心房の間の弁で、左心室から大動脈へ血液を送り出す時に、血液が左心房へ逆流するのを防いでいます。
 この弁が変性し、うまく閉まらなくなると、血液が左心室から左心房へ逆流し、全身へうまく血液を送り出せなくなります。
 初期には、心臓が頑張って働くことにより、全身への影響はありませんが、しだいに血液を十分に送れなくなり、心不全の状態になります。

症状
 早期の場合、無症状です。定期検診などに、心臓の雑音によって発見されます。
 
 一番最初の症状は、咳です。興奮時や夜から朝方に見られます。
 これは、逆流した血液によって大きくなった心臓が、気管支を圧迫することによって生じます。
 さらに病気が進行すると、疲れやすくなり、息切れしたり、痩せてきたりといった症状が出てきます。
 
 心不全の状態へ進行すると、肺の中で血液がうっ帯した状態、肺水腫となります。
 呼吸困難となり、舌の色が紫色になるチアノーゼが見られたり、失神したり、死亡することもあります。

治療
 病気の進行を遅らせたり、心不全の症状を和らげるために、薬を飲ませて治療します。
 投薬は、一生必要で、病気の進行に伴って、血管拡張剤、利尿剤、強心剤など、さまざまな薬を組み合わせて飲ませます。
 また、僧帽弁を形成する手術による治療法もあります。

家庭での注意点
 ・薬は指示通りに忘れずに飲ませましょう。
 ・塩分の多い食事(おやつも含めて)は与えないようにしましょう。
 ・過度な運動は、避けましょう。
 ・温度や湿度を整えた環境にしましょう。
 ・肥満は、症状を悪化させるので、太らせないようにしましょう。
 
こんな時は、すみやかに病院へ
 ・口を開けて苦しそうに息をする時
 ・咳がとまらなくなった時
 ・急に元気や食欲がなくなった時

定期検診をおすすめします
 僧帽弁閉鎖不全症の初期には、症状がありません。
 この時期から、治療・投薬を始めることによって、心不全の症状の発現を遅らせることができます。
 そのため、定期検診での聴診(心雑音を発見できる)、さらに超音波検査やレントゲン検査を行い、早期発見することが重要となります。






 

※ 全院で、夜間診療は行っておりません。