熱中症について
昨日(6/16)はすごい雨と雷でしたね(>_<)
皆さんは大丈夫でしたか?私の家は雨漏りしてました...
梅雨が明けると、暑い夏がやってきます。
この時期に多い疾患といえば皮膚病や外耳炎などですが、それ以外に気をつけていただきたい病気として熱中症が挙げられます。
今回は熱中症に関して説明したいと思います。
熱中症とは...
熱によって引き起こされる体の不調を総称しており、専門的には「暑熱環境にさらされる、あるいは運動などによって、体の中でたくさんの熱を作るような条件下にあって発症し、体温を維持するための生理的な反応により生じた失調から、全身の臓器の機能不全にいたるまでの、連続的な病態」と定義されています。
文章では難しく書かれていますが、症状が軽いものから重症になると多臓器不全をおこして死に至ることもある、ということです。
熱中症の原因と症状
原因:高温多湿の状態におかれたこと
・閉切った室内(車内)にエアコンなしの状態で放置
・夏場に日当たりのよい場所で飼育されている
・暑い時期の過度な運動
などがよく挙げられます。
犬はヒトのように汗をかいて体温を調節する事ができず、パンティング(舌を出してハアハアと呼吸する)により熱を放熱します。これらはいずれも飼い主が少し気を付ければ防止できる事です。
なりやすい犬種:
・短頭種:パグ、ブルドック、フレンチブルドック、シーズーなど
・北方犬:シベリアン・ハスキー、アラスカン・マラミュート、サモエドなど
・大型犬
・長毛種
犬種ではないですが...肥満犬
症状:
高体温で呼吸が速く、口を開けてハアハアし、重症になると粘膜の充血、意識レベルが下がり、低血圧、ショック状態、神経症状を呈します。
体温40℃以上 開口呼吸、粘膜充血
41℃以上 呼吸速迫、パンティング、皮膚充血
持続すると呼吸困難、意識混濁、
血圧低下(ぐったりする)
42℃以上 細胞レベルでの障害が起きる
意識障害、嘔吐、痙攣
持続すると、ショック、脳障害、多臓器不全
43℃以上 不可逆的な変性→死
熱中症の治療:
熱中症は予防が大事ですが、なってしまった場合、早期の治療が大事です。
体温40℃以下の場合
・涼しい場所に移す
・意識があれば水を飲ませる
・ゆっくり休息させる
体温40℃以上の場合
積極的な体温低下処置が必要
(病院に運ぶまでの初期治療)
・水で全身をぬらす
・ぬれたバスタオルでくるむ
・扇風機、ドライヤーの冷風をあてる
・部分的(首や脇、内股など)にアイスパックなどをあてる
注意;極端な冷却法(氷水の中へ全身つけるなど)は血管収縮を招き、また動物に苦痛を与えるために逆効果です。
また、一見症状が軽く家庭で回復したように見えても、その後に症状が進むこともあるので必ず病院に連れて行ってください。
熱中症は重症では死に至るケースも少なくありません。また、体温低下のための治療法は存在しますが、多臓器不全を引き起こした場合の有効な治療法はなく、熱中症は予防することが最も重要です。
最後に、熱中症予防のための注意事項を記したいと思います。
・動物を置いて外出するときは、室温が上がらないように工夫する。
・密閉された狭い空間に置かない。
・室外飼育のときは直射日光が当たらないように工夫する。
・水分を十分取れるようにする。
・車に乗っているときは、犬が興奮しやすく、日光も当たり体温が上昇しやすいため、車の室温を十分コントロールし、日光の当たらない場所に置いてやる。
・夏場の運動は涼しい時間に行い、時間をかけない。特にアスファルトを散歩させる際には、人間が感じる温度より、体高が低い犬では感じる温度が高いことがあるので注意する。
・短頭種や肥満犬、ゴールデン・レトリバーなどの大型犬では特に上記のことに注意する。
・万が一のため、熱中症になったときの簡便な対処法を覚えておく。
飼い主さんも動物たちも、健康管理に注意して高温多湿な宮崎の夏を乗り切りましょう。
※ 全院で、夜間診療は行っておりません。